HACCP運用が続かなくなる原因と見直しの視点

HACCPに沿った衛生管理では、衛生管理計画に基づいた実施、記録・保存、振り返りと見直しが求められます。

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HACCP運用が形だけになるのはなぜか

HACCPに沿った衛生管理では、衛生管理計画に基づいて実施した内容を記録・保存し、必要に応じて見直すことが求められます。


しかし、HACCP運用の中で現場の作業手順と記録の流れが合っていないということがよくあります。作業後にまとめて記録している、担当者によって記入の仕方が違う、基準外時の対応内容が記録に残っていないという状態だと、記録は残っていても衛生管理の実施状況を正しく振り返ることができません。


この記事では、HACCPの記録・確認が形だけになりやすい原因と、見直すときに確認したいポイントを紹介します。

HACCP運用が形だけになる主な原因

  • # 01

    現場の作業手順と記録の流れが合っていない

    HACCPの記録は、現場で確認した内容を残すためのものです。しかし、作業の流れと記録のタイミングが合っていないと、記録内容が実際の確認内容とずれることがあります。

    問題は、「作業終了後に記入すること」そのものではありません。問題になるのは、どの時点で確認した結果なのか記録上で分からなくなることです。冷蔵庫の温度確認、加熱温度の確認、冷却温度の確認では、それぞれ確認するタイミングが異なります。そのため、帳票には「確認時刻」「確認タイミング」「対象工程」などを残せる形にしておく必要があります。

    帳票を見直す際は、現場の作業手順の中で「どの確認結果をどの欄にいつ記録するのか」を確認します。

  • # 02

    記録項目や記入欄の意味が分かりにくい

    記録項目や記入欄の意味が分かりにくい場合、担当者によって書き方に差が出ることがあります。これは、帳票だけの問題ではなく、記録用紙の項目名と、作業手順書に記載している確認内容や判断基準が対応していない場合にも起こります。

    たとえば、手順書では「冷却後の温度を確認する」としていても、帳票上の項目名が「確認結果」だけになっていると、何を記録する欄なのかが分かりにくくなります。

    見直す際は、帳票の項目名と、手順書に記載している確認内容・判断基準が対応しているかを確認します。

  • # 03

    担当者ごとに判断が分かれる項目がある


    HACCPの運用では、担当者が変わっても同じ基準で確認・記録できることが大切ですが、実際の現場ではベテラン担当者の経験に頼っている場面が多くあります。

    どの状態を「異常」と判断するのか、どの段階で責任者に報告するのか、どの内容を記録に残すのかというように、担当者ごとで判断が分かれるような項目は、確認基準や記録方法を整理し基準や記入例を補足しておくことが大切です。

  • # 04

    管理者の負担が大きくなっている

    HACCPの記録は、現場で記入して終わりではなく、管理者や確認者が内容を確認します。

    製品や工程が多い場合には確認する帳票や記録項目が増えるということがよくあります。ただ、確認者が見るべき項目や基準外時の確認欄が統一されていないと、確認作業に時間がかかってしまいます。

    見直す際は、確認者が見る項目、基準外時に確認する内容、確認後の対応が分かる形になっているかを確認します。

  • # 05

    基準外時の対応内容が記録に残っていない


    基準外や異常があった場合は、確認結果だけでなく、実施した対応内容も記録します。

    ただし、対応自体は行っていても、記録上は「NG」「再確認済み」だけで終わっている場合ことがあります。このような記録だと、後から見返したときにどのような対応を行ったのかが分かりません。

    基準外時は、基準外だった内容、再確認の結果、実施した対応、責任者への報告内容などを記録します。原因がその場で分からない場合は、推測で書かずに確認した事実と実施した対応を残します。

  • # 06

    社内確認や監査前に確認作業が集中している


    日常的に記録内容を確認していないと、社内確認や監査の前に帳票の確認作業が集中します。

    その結果、普段の記録方法や保管方法、基準外時の対応記録に問題があっても、日常業務の中で見直す機会が少なくなります。

    HACCPの記録は、監査前だけ確認するものではありません。日常の記録・確認を通して、衛生管理の実施状況を振り返るために使います。


記録管理の負担が運用に影響する場合


HACCPの記録・確認が形式的になる背景には、記録管理の負担が関係している場合があります。


帳票の種類が多い、同じ内容を複数の用紙に記入している、保管や検索に時間がかかる場合、現場担当者と管理者の両方に負担がかかります。

また、管理者側に確認作業が集中していると、提出された帳票を確認するだけで時間がかかり、記録内容の見直しまで手が回らないことがあります。

この場合は、記録項目だけでなく、帳票の分け方や確認の流れ、保管方法を含めて見直すことが大切です。


紙での運用や確認負担を含めて管理方法を見直したい場合は、関連ページも参考になります。

HACCP運用を見直すときの考え方


HACCP運用を見直すときは、記録や確認が形式的になっている部分がないかを確認します。


どの作業でずれが起きているか

確認作業や記録作業、管理者確認、保管のどこで負担やずれが発生しているかを分けて確認します。


誰に負担が集中しているか

現場担当者、管理者、品質管理担当者など、どの立場に負担が集中しているかを確認します。

人員が不足している場合は、帳票の見直しだけでは解決できません。その場合は、担当範囲や確認体制も含めて見直す必要があります。


どの記録が形式的になっているか

対応内容が不足している記録、基準外時の記録が簡易すぎる、担当者ごとに判断が分かれている記録を確認します。


現在の工程や体制に合っているか

製造工程、記録量、担当者数、確認者の役割に対して、現在の記録・確認の流れが合っているかを確認します。

HACCPそのものを簡略化するのではなく、必要な確認と記録を実施できる体制に整えることが大切です。

課題を整理したら、次は見直し方法の検討へ

HACCPの記録・確認が形だけになる背景には、現場の作業手順と記録の流れのずれ、記録項目と手順書の不一致、担当者ごとの判断差、管理者の負担集中、基準外時の対応記録の不足などがあります。


まずは、自社の運用でどこにずれや負担があるのかを整理することが大切です。


紙での運用に課題がある場合や、帳票管理の方法を見直したい場合は、関連ページもあわせてご覧ください。


参考情報:厚生労働省では、HACCPに沿った衛生管理として、衛生管理計画の作成、実施状況の記録・保存、記録の振り返りと見直しが示されています。また、管理基準を逸脱した場合は、改善措置を設定し、その措置内容に関する書面と実施記録を作成することが示されています。

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