HACCPの是正処置の進め方と記録の基本

HACCPにおける是正処置の考え方、対応の流れ、記録時に押さえたいポイントを実務目線でわかりやすく整理しています。

衛生管理の進め方
製品サイトで確認

HACCPの是正処置とは

HACCPの是正処置とは、管理基準から外れたときや、決めた通りの管理ができなかったときに行う対応のことです。


例えば、加熱温度が基準に届いていない、冷蔵庫の温度が上がっていた、決めた確認が実施されていなかったといった場面が該当します。 このようなときにそのままにせず、何が起きたかを確認し、必要な対応を行い、記録として残すことが是正処置の基本です。 HACCPでは、異常が起きないことが理想ですが、実際の現場では想定外のずれやミスが起こることがあります。 そのため、異常が起きたときにどう動くかを決めておくことが重要です。


この記事では、HACCPにおける是正処置について基本の流れ、具体例、記録時の注意点を実務目線で整理します。

HACCPにおける是正処置の目的

是正処置の目的は、単にその場の問題を片づけることではありません。 主な目的は次の3つです。
  • 問題が広がるのを防ぐ

    基準から外れた状態を放置すると、製品や工程に影響が広がるおそれがあります。 まずはその場で必要な対応を行い、影響を広げないことが大切です。

  • 原因を確認し、同じことを繰り返しにくくする

    異常が起きたときにその場しのぎの対応だけで終わると、同じことが繰り返されやすくなります。 何が原因だったのかを確認し、必要に応じて見直すことが重要です。

  • 対応内容を後から確認できるようにする

    是正処置は、対応した事実だけでなく、何が起きて、どう対応したかが分かるように残しておく必要があります。 

これにより後から振り返ったり、管理者が確認したりしやすくなります。

是正処置は、 異常時に止める・直す・残すための対応と考えると分かりやすくなります。


HACCP是正処置の基本的な流れ

是正処置は、次の流れで考えると整理しやすくなります。

  • # 01

    基準から外れたことを確認する

    まず温度、時間、確認内容などが基準から外れていることを把握します。

    現場では、この時点で異常に気づけることが出発点になります。

  • # 02

    対象となる製品や工程の状態を確認する

    異常が起きたときは、どの製品や工程に影響があるかを確認します。

    ここを曖昧にすると対応範囲が分かりにくくなります。

  • # 03

    その場で必要な対応を行う

    再加熱、製品の区分け、使用停止、再確認、上長への報告など、決められた対応を行います。

    何をするかは現場ごとに異なりますが、異常を見つけたあとに迷わないことが大切です。

  • # 04

    原因を確認する

    機器の不具合、確認漏れ、手順の理解不足、作業の忙しさなど何が原因だったかを確認します。

    原因確認まで行うことで、その後の見直しにつなげやすくなります。

  • # 05

    対応内容を記録する

    何が起きたのか、どう対応したのか、誰が確認したのかを記録として残します。

    ここが不十分だと、後から見返したときに状況が分かりにくくなります。


是正処置が現場で続きにくい場合は、対応方法だけでなく運用全体の負担や分かりにくさが影響していることもあります。

HACCP是正処置の具体例

是正処置は、実際の現場でどういう場面に起きるかをイメージできると理解しやすくなります。

  • # 01

    加熱温度が基準に達していなかった場合

    加熱後の確認で基準温度に届いていなかった場合、再加熱や対象製品の確認が必要になります。 そのうえで温度計の状態、作業手順、加熱条件なども確認し記録を残します。

  • # 02

    冷蔵庫の温度が基準外だった場合

    冷蔵設備の温度が高くなっていた場合は、設備の状態確認、保管品の確認、必要に応じた移動や対応を行います。 異常値だけでなくその後どうしたかを残すことが重要です

  • # 03

    決められた確認が行われていなかった場合

    温度確認そのものが未実施だった、記録が抜けていた、確認時刻を過ぎていたといった場合も対応が必要です。 単に後から記入するだけでなく、なぜ確認できなかったのかを確認し必要な報告や見直しにつなげます。

  • # 04

    清掃や衛生確認に不備があった場合


    決めた清掃が実施されていなかった、衛生確認で問題が見つかった場合は、再実施や確認を行いその事実と対応を記録します。


このように、是正処置は大きな異常だけでなく日々の確認のずれや未実施に対してどう対応するかも含まれます。

是正処置を記録するときの注意点

是正処置では、対応したことをきちんと残せるかが大切です。

特に次の点は押さえておきたいところです。


・何が起きたかを具体的に書く

「異常あり」「対応済み」だけでは後から内容が分かりにくくなります。何の基準が外れたのか、どの工程で起きたのかを分かる形で残すことが重要です。

・対応内容を省略しない

異常を見つけたあとに、再確認したのか、製品を止めたのか、報告したのかなど実際の対応内容を残します。 ここが空欄だと、是正処置として不十分に見えやすくなります。

・誰が確認し誰が対応したかを明確にする

担当者や確認者が分かるようにしておくと、記録の意味がはっきりします。

・原因確認とその場対応を混同しない

その場で行った対応と、原因確認や再発防止のための見直しは分けて考えた方が整理しやすくなります。


記録でも、その場の処置だけで終わっていないかを確認したいところです。

是正処置でよくある迷いとミス

是正処置の実務では、次のような迷いやミスが起きやすくなります。


・異常値だけ記録して対応を書いていない

問題が起きたことは分かっても、その後どうしたかが分からない記録になりやすいです。

・その場しのぎで終わってしまう

一度の対応で終わり、なぜ起きたのかを確認しないと同じ問題が繰り返されやすくなります。

・基準外かどうかの判断が曖昧

現場担当者が「この程度なら大丈夫」と自己判断してしまうと、対応がばらつきやすくなります。

異常時の判断基準をそろえておく必要があります。

・記録が後回しになる

対応を優先するあまり記録が後になり、内容が曖昧になることがあります。 できるだけ事実が分かるうちに残すことが大切です。

・予防的な見直しと是正処置が混ざる

是正処置はまず起きた異常への対応です。 長期的な改善まで一度に整理しようとすると、記録や判断が分かりにくくなることがあります。

是正処置の実務を押さえたら、次は運用課題の整理へ

HACCPの是正処置では、 異常に気づく、必要な対応をする、原因を確認する、記録として残す という流れを押さえることが基本です。

このページで理解しておきたいのは、是正処置の意味だけでなく現場でどのように対応し、何を記録するべきかという実務の考え方です。 まずここを整理しておくことで、異常時の対応がその場しのぎになりにくくなります。

そのうえで、 「なぜ対応しても運用が安定しないのか」 「紙での記録管理にどんな負担があるのか」 「今後どう見直していくべきか」 といった次の課題整理や改善検討に進むと、現場全体を見直しやすくなります。

HACCPの是正処置は、

基準から外れたときにその場で必要な対応を行い、

原因を確認し、記録として残すための実務です。


単に異常を直すだけでなく、何が起きて、どう対応したのかが分かる状態にしておくことが重要です。


まずは、是正処置の基本の流れ、具体例、

記録時の注意点を押さえることが、現場で迷わない対応につながります。

Related

関連記事